令和元年度質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業委託費クウェート既設変電所におけるガス絶縁開閉装置の保全更新計画最適化に係る事業性調査調査報告書（英文）Feasibility Study on Optimizing Maintenance and Replacement Planning for Gas Insulated Switchgears at Existing Kuwait Substations (Life Extension of Aging GIS Project) - Final Report

この報告は、クウェートの既存変電所におけるガス絶縁開閉装置（GIS）の保守・更新計画最適化に関する実現可能性調査について書かれた報告書である。クウェートでは1970年代後半から1980年代にかけて多数のGIS変電所が建設され、これらの設備が設計寿命を超えて老朽化が進んでいる状況である。従来の設計寿命での一律更新では、大量の設備が同時期に更新される必要があり、多額の投資負担、電力網の停電制約、大規模工事が集中するという課題が生じている。

日本では1960年代からGISが導入され、多くの設備が高齢化している背景から、電力会社と製造業者が共同で老朽化GISの劣化調査、更新時期決定、保守対策の検討と実施を行い、設計寿命を超えるGIS運用を実現してきた経験がある。本調査では、この日本の知見を活用してクウェートの老朽化GIS問題解決に向けた実現可能性調査を実施した。調査の結果、クウェートでは軽微な保守作業は実施されているものの、分解保守や消耗品交換は行われていない状況が明らかとなった。

実際の老朽化GISの劣化調査により、構成部品の劣化が確認され、分解保守による設備性能回復効果が検証された。電力水省に対して、設計寿命を超える長期GIS運用には適切な保守と劣化状況把握が必要であることを説明し、理解を得ることができた。日本メーカーは老朽化GISの詳細点検を提案しており、本調査活動を通じて保守プロジェクト提案の可能性が高まった。また、電力水省はGIS劣化調査に関心を示したため、クウェートにおける各種GISの劣化調査業務が期待される。本調査により、GIS更新時期決定と適切な保守対策の必要性について電力水省の理解を得ることができ、日本のGIS技術優位性をクウェートで活用し、将来のGIS更新プロジェクトへの良好な影響が期待される。