令和元年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(フィリピン国・カビテ地方の公共交通網基本コンセプト策定 および軌道系中量輸送システム整備事業実現可能性調査)報告書

掲載日: 2020年6月29日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局国際プラント・インフラシステム・水ビジネス推進室
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令和元年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(フィリピン国・カビテ地方の公共交通網基本コンセプト策定 および軌道系中量輸送システム整備事業実現可能性調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、フィリピン国・カビテ地方における公共交通網基本コンセプト策定および軌道系中量輸送システム整備事業の実現可能性について書かれた報告書である。

調査対象地域であるカビテ州はマニラ大首都圏の南部に位置し、急激な人口増加と都市化が進んでいる地域である。現在の交通状況は私有車の増加により道路混雑が深刻化しており、持続可能な公共交通システムの整備が急務となっている。本調査では、将来の人口増加予測を基に交通需要を分析し、軌道系中量輸送システム(AGT等)を中心とした公共交通網の整備計画を策定した。

基幹公共交通システムとして3つの優先路線を提案している。ルート1はニオグ-CEZ間、ルート2はジェネラルトリアス-ムンティンルパ間、ルート3はニオグ-アラバン間である。これらの路線は既存の道路インフラを活用した高架構造を基本とし、駅配置についても周辺開発との連携を考慮している。運行システムでは輸送需要に応じた車両編成と運転間隔を設定し、効率的な輸送サービスの提供を計画している。

環境社会配慮の検討では、事業実施に伴う大気質改善効果や温室効果ガス削減効果を定量的に評価している。一方で、用地取得や住民移転等の社会的影響についても詳細な検討を行い、フィリピン国の環境影響評価制度に基づく手続きを整理している。事業実施にあたっては環境コンプライアンス証明書(ECC)の取得や住民移転計画(RAP)の策定が必要である。

経済財務分析では概算事業費を算定し、経済的内部収益率(EIRR)および財務的内部収益率(FIRR)を用いて事業の妥当性を評価している。資金調達方法として官民連携(PPP)スキームや税収増加ファイナンス(TIF)の活用を提案している。さらに、事業実施による経済波及効果や地価上昇効果についても推計を行っている。法的分析では事業実施に必要な許認可手続きや税制上の考慮事項を整理し、実現可能な事業スキームを検討している。