令和元年度関西高成長中小企業の新事業展開事例に関する調査研究

掲載日: 2020年6月29日
委託元: 経済産業省
担当課室: 近畿経済産業局総務企画部中小企業政策調査課
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報告書概要

この報告は、関西地域における高成長中小企業の新事業展開について書かれた報告書である。近畿経済産業局が実施した令和元年度の調査研究によって、人口減少・少子高齢化や技術進歩、国際競争激化といった環境変化の中で成長している中小企業の実態を明らかにしている。

調査では、売上および利益の伸長率を基準として高成長中小企業を定義し、アンケート調査とヒアリング調査を通じて新事業展開の実態を把握している。その結果、高成長企業の経営者は既存事業の拡大や人材確保と並行して、新分野への参入や新しい収益源の確立を重視していることが判明した。また、企業の成長段階が進むにつれて新たな製品・サービス開発が重要課題として浮上することも確認された。

調査対象企業の分析から、顧客ニーズを起点とした新事業展開が多く見られ、社内ビジョンの共有や社内コミュニケーションの推進が成功要因として挙げられている。具体的な事例として、食堂運営企業による小規模事業所への展開や海外進出、型打鍛造メーカーによるM&Aを活用した生産体制強化、クリーニング業における保管・宅配サービスの展開などが紹介されている。

これらの分析を通じて、新事業展開による企業成長サイクルモデルが提示されている。このモデルでは、日頃の顧客対応から新事業ニーズに気づく力を育み、事業化へのスムーズな対応を経て、新事業の成功がさらなる信頼関係構築につながるという循環が示されている。また、このサイクルの回転を加速させる要因として、技術力の向上や人材育成、外部ネットワークの活用などが挙げられている。

報告書は、これらの調査結果が全国の中小企業経営者に対して新事業展開に関する気づきを促し、具体的な経営改善の取組やイノベーションを促進するとともに、今後の中小企業政策立案の基礎となることを目指している。