令和元年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(我が国のCCS導入のあり方に係る調査事業)調査報告書

掲載日: 2020年6月30日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局地球環境対策室
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令和元年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(我が国のCCS導入のあり方に係る調査事業)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、我が国のCCS(二酸化炭素回収・貯留)導入のあり方について書かれた調査報告書である。IPCC第5次評価報告書によると、2°C目標達成には2050年までに低炭素エネルギーの供給比率を3倍から4倍に増加させる必要があり、CCSは重要な役割を担うことが示されている。IEAの報告では、2060年時点で68億トン/年のCCS削減が必要とされ、発電セクターでは32億トン/年の削減を要するとしている。我が国では苫小牧でCCS大規模実証試験が実施され、研究開発や貯留適地調査が進められている。産業界では鉄鋼、電力、化学各業界が温暖化対策に取り組んでおり、CCUSに期待を寄せている。海外では EU、英国、ノルウェー、豪州、米国、カナダなどでCCS関連法規制が整備され、金銭的施策や事業リスク軽減施策が実施されている。モデル分析では、日本における2050年のCCS導入量は最大で年間1億トン規模が想定され、費用対効果の高い技術と評価された。CCS普及には導入初期の実証、成長期の規模拡大、拡大期の本格展開、加速期の大規模導入という段階的アプローチが効果的である。実現には地点選定、事業環境整備、経済性確保、社会受容性向上が必要である。技術面では回収、輸送、貯留の一貫システム実証、コスト削減のための技術開発が求められる。事業モデルでは官民役割分担の明確化、インセンティブ施策や法整備による事業環境整備が不可欠である。CCSは外部不経済事業のため、追加コストギャップを埋める施策が必要となる。