令和元年度火薬類爆発影響低減化技術基準検討報告書
報告書概要
この報告は、煙火製造施設及び煙火火薬庫における爆発影響低減化技術基準の検討について書かれた報告書である。令和元年度に公益社団法人全国火薬類保安協会が経済産業省の委託を受けて実施した研究成果をまとめたものである。火薬類取締法に基づく保安技術基準の確立を目的として、昭和36年以降継続的に実施されてきた大規模実験の一環として位置づけられる。煙火製造施設や煙火火薬庫では、立地後の周辺環境変化に伴い保安距離や施設能力の見直しが求められており、これに対応するため防爆壁の構造や位置関係による爆発影響低減効果を検証した。実験は煙火火薬庫の貯蔵量2トンを想定し、1/4スケールの薬量31.25kgに相当する含水爆薬19.53kgを用いて実施された。防爆壁に関する実験では、既存の砂防爆壁に加えて合板、水、鉄板を材質とする追加防爆壁を設置し、5回の爆発実験を行った。基準爆風圧実験では既存防爆壁を模擬した試験体を用いて1回の実験を実施した。計測項目として爆風圧、地盤振動、騒音、高速度カメラによる爆発状況の映像データ、飛散物の状況等を取得し、換算距離2から12m/kg1/3の範囲で爆源から0度、45度、135度、180度の4方向での爆風圧を測定した。実験結果から防爆壁の構造により爆風圧の減衰効果が確認され、保安距離低減の可能性が示された。学識経験者や火薬専門家等19名で構成される委員会を設置し、実験計画の検討から結果の評価まで包括的な技術検討を行った。本研究により得られたデータは今後の保安技術基準策定や火薬類取扱者の保安意識向上に活用される。
