令和元年度新エネルギー等の保安規制高度化事業委託調査(水力発電設備における保安高度化推進事業)報告書

掲載日: 2020年6月30日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ電力安全課
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報告書概要

この報告は、公営水力発電設備における保安規制高度化について書かれた報告書である。経済産業省の委託により、令和元年度に実施された調査事業の成果をとりまとめている。報告書は、再生可能エネルギーとして期待される水力発電設備について、設備の経年化や技術者の定年退職による保守管理体制の維持への懸念に対応するため、ICT/IoT技術を活用した先進的な保守手法の導入を検討している。

主要な内容として、「適切な保安レベルを確保しつつ巡視点検をスマート化すること」を共通課題として設定し、公営水力発電設備の保守省力化に向けた検討を実施した。具体的には、ワーキンググループを設置して専門家による議論を重ね、巡視点検項目の整理、ICT/IoT活用による効率化検討、実証事業計画の策定、ガイドライン要件整理を行った。

巡視点検項目の整理では、横軸フランシス、横軸ペルトン、立軸フランシス、立軸ペルトン、立軸カプランの各水車形式について、計測記録項目と五感による点検項目を体系的に分析し、故障項目との対応関係を明確化した。また、ICT/IoT技術の導入により効果的な検知が期待される項目を抽出し、センサー技術による代替可能性を検証した。

実証事業案として、タブレット活用による巡視点検データの電子化とクラウド蓄積、Webカメラによる遠隔監視システム、新規センサー導入による高度分析システムの三つの方向性を提案している。これらの実証により、巡視作業の効率化と保安レベルの維持を両立することを目指している。さらに、公営電気事業者がICT/IoT技術を導入する際の指針となるガイドライン作成に向けて、情報セキュリティ対策やサイバー・フィジカル・セキュリティ対策フレームワークとの整合性を含む要件整理を実施した。