令和元年度新エネルギー等の保安規制高度化事業委託調査(新エネルギー発電設備の環境影響評価についての検討事業)報告書

掲載日: 2020年6月30日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ電力安全課
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令和元年度新エネルギー等の保安規制高度化事業委託調査(新エネルギー発電設備の環境影響評価についての検討事業)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、太陽電池発電設備の環境影響評価制度の整備について書かれた令和元年度の調査研究報告書である。経済産業省が株式会社千代田コンサルタントに委託し、太陽電池発電設備および風力発電所の環境影響評価に関する法令改正案の作成を目的として実施された事業の成果をまとめたものである。

報告書では、まず太陽電池発電設備に関する環境影響評価の現状把握として、各自治体の環境影響評価条例における太陽電池発電所の対象事業適用状況を調査した結果、24の自治体が太陽電池発電所を環境影響評価の対象事業としており、そのうち18件が平成31年4月以降に施行されたことが明らかになった。規模要件については事業実施区域面積50ヘクタールを基準とする自治体が多く、森林開発面積を併せて要件とする自治体も見られた。また、条例アセス実施状況として、福島県が11件と最も多く、全体で37件の案件が確認された。

さらに、法令改正案作成にあたっての問題点として、太陽電池発電所特有の環境影響項目である反射光や廃棄物処理、騒音測定手法などについて詳細な検討を行った。特に騒音については実測調査を実施し、パワーコンディショナーから発生する純音性騒音の評価手法について具体的な検討結果を示している。

風力発電所については、施設稼働に伴う騒音および超低周波音、工事実施に係る大気質・騒音・振動について参考項目設定の妥当性を検討した。これらの検討結果を踏まえ、発電所アセス省令、電気事業法施行規則および環境影響評価の手引の改正案を作成している。

検討過程では、有識者等からなる委員会を3回開催し、環境審査顧問会からの意見聴取も実施した。委員会では動物・植物・生態系の調査手法、反射光の予測評価手法、廃棄物処理の考え方などについて専門的な議論が行われ、その結果が最終的な改正案に反映されている。本調査は、新エネルギー発電設備の適切な環境影響評価制度構築に向けた重要な基礎資料として位置づけられる。