令和元年度省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費(国際ルールインテリジェンスに関する調査(空飛ぶクルマの標準化動向調査))調査報告書
報告書概要
この報告は、「空飛ぶクルマ」の国際標準化動向について書かれた調査報告書である。経済産業省が2018年に設立した「空の移動革命に向けた官民協議会」のロードマップを受けて、国際標準化の動向調査と国内事業者の技術開発状況の整理を目的として実施された。調査では、ASTM、SAE、RTCA、EUROCAEなどの国際標準化機関における空飛ぶクルマ関連の標準化議論の動向を詳細に分析した。米国・欧州における制度化動向についても機体認証、操縦者免許、航空機使用事業、離着陸場、飛行試験の各分野で情報収集を行った。国内の機体製造事業者および部品製造事業者からのヒアリングにより、技術開発状況と標準化への取組み状況を把握し、技術マップを整理した。欧米では既に活発な標準化議論が開始されており、ASTMでは電動航空機等の既存規格のギャップ分析に基づく技術分野全般の標準化、SAEでは電動推進システムと電源に関する標準規格の策定、RTCAでは遠隔操縦機を対象とした無線通信や衝突回避の標準規格策定、EUROCAEではVTOL対象のワーキンググループによる技術分野全般の標準規格策定が進められている。米国FAAでは個別メーカー・機体毎の認証基準検討、欧州EASAではVTOL向けSpecial Condition発行と具体要件の検討が行われている。国内事業者は最新動向の情報収集に注力している段階であり、機体製造事業者は機体認証取得に資する標準規格情報の収集、部品製造事業者は自動車部品の転用可能性やポート技術における有望技術の活用を検討している。
