令和元年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(熱量バンド制への移行による燃焼機器の影響等調査)報告書
報告書概要
この報告は、熱量バンド制への移行による燃焼機器の影響について調査した報告書である。現在の標準熱量制から熱量バンド制への移行を検討するため、令和元年度に一般財団法人日本ガス機器検査協会が実施した調査結果をまとめている。調査では、ガスエンジン、空調機、燃料電池、工業炉、業務用厨房機器、家庭用燃焼機器などの主要な燃焼機器について、熱量変動が与える安全面と性能面の影響を評価した。熱量バンド幅を40MJ/㎥~46MJ/㎥、42MJ/㎥~46MJ/㎥として検証を行い、各機器に対する具体的な対応策と必要コストを算出した。ガスエンジンでは急激な熱量変動により空燃比制御が追いつかず、ノッキングや失火による安全性の問題が確認された。空調機については吸収冷温水機やGHPで燃焼状態の悪化や効率低下が観察された。燃料電池では改質器の性能に影響が生じ、工業炉では浸炭処理において炭素濃度の制御に支障をきたすことが判明した。業務用厨房機器では調理品質への影響があり、家庭用機器では使用感の変化が懸念される結果となった。対応策として機器の設定変更、部品交換、制御システムの改良などが提案されたが、多くの機器で相当なコストが必要となることが明らかになった。特に既存機器の改修については技術的困難性と経済的負担が大きく、新規機器での対応が現実的であることが示された。調査結果は熱量バンド制移行の検討において重要な基礎資料となっている。
