令和元年度産業経済研究委託費(生産性向上特別措置法に基づく固定資産税の軽減措置に関する調査研究)報告書

掲載日: 2020年8月4日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中小企業庁経営支援部技術・経営革新課
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令和元年度産業経済研究委託費(生産性向上特別措置法に基づく固定資産税の軽減措置に関する調査研究)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、生産性向上特別措置法に基づく固定資産税の軽減措置に関する調査研究について書かれた報告書である。中小企業庁が実施したこの調査は、2018年6月に施行された同法に基づき、市区町村の認定を受けた中小企業の設備投資を支援する税制措置の効果を検証することを目的としている。本税制措置は、先端設備等導入計画の認定を受けた中小企業に対し、償却資産に係る固定資産税を最大3年間ゼロとする制度である。

調査は2020年2月に実施され、全国25,000社を対象として5,021社から回答を得た。回答企業の業種別では製造業が65.6%と最も多く、従業員規模別では20人以上50人未満の企業が28.5%を占めている。調査結果によると、多くの企業が金融機関や支援機関からの紹介により本税制措置を知り、労働力不足の解消や効率向上を目的として先端設備等を導入していることが明らかとなった。

設備投資への影響については、本税制措置が投資検討のきっかけや投資時期の前倒し、投資額の増加に効果があったことが確認された。実際に設備を導入した企業の多くで労働生産性の向上が実現されており、具体的な事例として製造業A社では1.5倍の生産性向上、建設業B社では売上・粗利が20%超向上した成果が報告されている。これらの効果により従業員の給与・賞与の向上や新規取引先の獲得なども実現されている。

一方で、計画通りに進捗していない企業も存在し、その理由として資金調達の困難さや人手不足、メーカーの納期遅れなどが挙げられている。制度の改善点として、対象設備の拡大や事務手続きの簡素化、税制優遇期間の延長などが要望されている。また、固定資産税制度そのものについても、一律の税率や事務負担の過大さが設備投資行動にマイナスの影響を与えているとする企業が存在することが判明した。