平成31年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査事業(エネルギー供給構造高度化法に基づく非化石電源に係る認定業務及び非化石証書の利用価値向上に係る調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、平成31年度に実施されたエネルギー需給構造高度化対策に関する調査事業について書かれた報告書である。同事業は、非化石価値取引市場における非FIT非化石電源の認定業務およびFIT非化石証書のトラッキングスキームに関する実証実験を主要な内容としている。非FIT非化石電源とは、FIT制度に基づく固定価格買取期間が終了した電源等を指し、これらの電源から発電される電力量を適切に認定し、非化石証書として取引可能にすることで、小売電気事業者の非化石電源調達目標達成を支援するものである。
報告書では、まず非FIT非化石電源に係る認定業務について詳述されており、発電設備情報の集計、国が保有するデータとの照合確認、他制度との二重登録防止等の具体的な手続きが示されている。認定業務は事業者登録、非化石電源登録、電力量認定申請の三段階で構成され、専用のポータルサイトを通じて実施される仕組みが構築された。また、認定業務を実施する過程で生じた課題として、対象年月の判定方法や提出書類の整理等が整理されている。
さらに、FIT非化石証書のトラッキングスキームに関する事業者ニーズ調査および実証実験についても詳細に報告されている。トラッキングとは、非化石証書に対応する電源種や発電所所在地等の属性情報を管理・追跡する仕組みであり、2019年度には実際にトラッキング付非化石証書の取引が試行的に実施された。実証実験には発電事業者と小売事業者が参加し、属性情報の割当方法や証書の活用方法について検証が行われた。実験結果では、参加者の満足度は概ね高く、今後の本格展開に向けた有用な知見が得られている。
