平成31年度国際ヘルスケア拠点構築促進事業(医療国際展開推進事業)報告書
報告書概要
この報告は、日本の医療機器・サービスの国際展開推進について書かれた報告書である。
世界的な医療・介護市場の急成長に対応し、日本の優れた医療技術・サービスをアウトバウンド・インバウンドの両面で推進するため、2020年3月に一般社団法人Medical Excellence JAPANが実施した事業の成果をまとめたものである。報告書では、医療の国際展開における戦略的な取り組みとして、海外でのネットワーク構築、日本への医療渡航に関するプロモーション、過去事業の調査分析、日本医療の強みの明確化という4つの主要な実施項目について詳述されている。
海外でのネットワーク構築については、タイ、メキシコ、アフリカ3か国を対象とした官民ミッションを実施し、現地の医療関係者との関係構築と日本の医療技術の認知度向上を図った。タイでは予防歯科分野での協力推進、メキシコでは医療機器販売強化、アフリカ諸国では日本製医療機器のプレゼンス向上を目的として、派遣型と招へい型の両方式でミッションを展開した。
医療渡航プロモーションでは、ベトナムと中国の医療渡航関連国際展示会に出展し、日本の医療技術・サービスの認知度向上と患者受入体制のアピールを行った。官民一体のオール・ジャパンとしての取り組みを強調し、医療インバウンド市場における日本のプレゼンス向上を図ったことが報告されている。
過去事業調査では、経済産業省が実施した医療アウトバウンド実証事業の分析を通じて、事業継続・中止の要因を整理し、今後の支援モデル検討の基礎データを構築した。また、日本医療の強みを明らかにする調査では、人間ドック制度をはじめとする日本独自の医療システムの優位性を分析し、外国からの医療インバウンド訴求につながる要素を特定した。特に人間ドックについては、1937年頃に日本で始まった制度として、疾患の早期発見と予防を目的とした世界に類を見ない健診システムであることが強調されており、医師による検査結果説明と生活指導の重要性が明示されている。
