平成31年度エネルギー需給高度化対策に関する調査等事業(バイオマス発電に用いる燃料の持続可能性及びGHG排出量基準に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、FIT制度におけるバイオマス発電に用いる燃料の持続可能性確認方法及びGHG排出量基準について検討した調査報告書である。2018年の事業計画策定ガイドライン改訂により、パーム油等のバイオマス液体燃料について持続可能性認証が義務化されたことを受け、RSPO以外の認証スキームの適用可能性及びライフサイクルGHG排出量基準の検討が求められた背景がある。調査では、RSPO、RSB、ISCC、ISPO、MSPO、GGLという6つの主要な持続可能性認証スキームについて、P&C認証、サプライチェーン認証、ガバナンス体制の観点から詳細に比較分析を実施した。各認証スキームは、環境・社会・労働といった持続可能性を評価する原則・基準を設定し、認証製品が非認証製品と分別管理されることを担保するサプライチェーン認証と組み合わせて運用されている。EU RED IIを中心とした海外制度の精査により、ライフサイクルGHG排出量の算定方法、基準値、デフォルト値等についても情報収集を行い、燃料種や生産・加工・輸送工程の条件に応じた代表値の設定方法を整理した。調査結果として、FIT制度で適用可能な認証スキームの評価基準案を提示し、主産物と副産物の取り扱いの違い、確認すべきサプライチェーンの対象範囲等の論点を明確化した。これらの調査結果は、バイオマス持続可能性ワーキンググループでの専門的・技術的検討に活用され、FIT制度下におけるバイオマス発電の持続可能性担保に寄与することが期待されている。
