平成31年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査(今後の電力系統と送配電事業の在り方に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、今後の日本の電力系統と送配電事業の在り方について書かれた報告書である。
経済産業省の委託により、有限責任監査法人トーマツが2020年2月に実施した調査で、再生可能エネルギーの大量導入に対応するため、国際的な動向や制度を踏まえて送配電事業の変革方向を検討したものである。背景として、再エネ大量導入における国民負担抑制と既存ネットワークコストの削減、人口減少や設備高経年化対策、次世代ネットワークへの転換といった課題がある。
主要な調査項目として、まず送配電設備の形成について、EUのPCI制度による横断的インフラプロジェクトの許認可手続き合理化や財政支援制度を分析している。系統増強プロセスでは、アメリカの競争的再エネ導入エリアの事例を検討している。EV化社会を見据えた電力分野の論点では、電気自動車の普及に伴う電力インフラへの影響を考察している。
送配電分野のグローバル展開については、海外送配電事業者の事業展開事例や他地域配電設備運用、Ring Fence制度について調査している。新たな送配電関連ビジネスでは、アグリゲーター・P2P事業者の電気事業法上の位置づけ、マイクログリッド、電力データ活用事例、最終供給保障制度を検討している。
最後に、ISO・TSO・DSOの責任分界と連携、山火事基金や災害対策への取り組みについて分析を行い、これらの知見を基に日本の送配電事業の未来像と制度改革の方向性を提示している。