令和元年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業(中長期的な保安行政の在り方について ~ 高圧ガス保安法令に基づく行政事務を中心に ~)報告書
報告書概要
この報告は、高圧ガス保安行政の中長期的な在り方について検討した報告書である。
近年、高圧ガス保安を担当する地方自治体の職員が高齢化し、若手人材が継続的に不足しており、大きな課題となっている。同時に、IT技術や耐震技術をはじめとする新しい知見に対して、審査・検査を行う行政側においても、そうした知見を継続的に習得する必要があるが、石油・石化・一般化学業界を管轄する地方自治体では、人手不足問題や新技術への対応が困難な状況にある。
本調査では、都道府県等が実施している高圧ガス保安法令に基づく行政事務のうち、特に技術上の基準への適合に係る審査を行う必要がある高圧ガスの製造許可について、どのような支援体制が構築できるかを検討した。具体的には、全国の地方自治体に対してアンケート調査とヒアリングを実施し、現在の課題を把握した。
調査結果では、多くの自治体が県単独での審査が困難とする案件として、耐震設計に関する審査を最も多く挙げた。これは専門的知見の問題により、耐震設計基準に関する事務が困難であることが理由である。その他、保安検査、水素スタンド、許可・届出、容器検査についても困難とする回答があった。特に耐震分野では、建築や土木等の専門知識を有する職員配置がされていない状況や、申請件数が少なく経験を積むことが困難な状況が明らかになった。
有識者5名及び高圧ガス関係団体からなる委員会を設置し、3回にわたって検討を行った結果、地方自治体の課題に対する解決策として、高圧ガス保安協会等による技術的支援体制の充実が提案された。また、3つの許可案件について模擬的な評価シミュレーションを実施し、支援体制の有効性とメリット・デメリットを分析した。
