令和元年度地域中小企業・小規模事業者等を対象としたプロセス・コンサルティングのためのマニュアル作成等に係る調査事業 調査報告書

掲載日: 2020年8月11日
委託元: 経済産業省
担当課室: 関東経済産業局地域企業支援室
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令和元年度地域中小企業・小規模事業者等を対象としたプロセス・コンサルティングのためのマニュアル作成等に係る調査事業 調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、地域中小企業・小規模事業者を対象としたプロセス・コンサルティングのためのマニュアル作成に関する調査について書かれた報告書である。令和元年度に関東経済産業局が委託した事業として、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社が実施した調査結果をまとめている。

地方経済は日本経済全体の8割以上を占める重要な役割を持つ一方で、20代の若者を中心とした首都圏への人口流出が深刻な課題となっている。この流出の主要因は良質な雇用機会の不足であり、地方企業が提供する仕事と若手人材が求める仕事との間にミスマッチが生じている状況である。

戦後の日本産業はピラミッド型構造の中で中小企業が下請として技術向上とコスト削減に注力してきたが、グローバル化により大企業の生産拠点が海外に移転し、従来の産業構造での競争が困難となっている。今日の中小企業には大企業との対等なパートナーシップによるイノベーション創出と新市場開拓が求められており、そのためには課題解決力ではなく課題設定力が重要となっている。

多くの中小企業経営者は環境変化の中で適切な方向性を見出すための相談相手を持たず、さらに社内外のしがらみにより実際の行動に移せない障壁が存在する。そのため経営者の課題設定支援には内発的な気づきを促し、実行可能なレベルまで施策を落とし込む継続的な対話と信頼関係構築が必要である。

2019年6月に設立された官民合同チームは関東経済産業局職員10名と多様な背景を持つ伴走コンサルタント12名で構成され、新潟県燕市、長野県飯田市、茨城県日立市の地域中核企業36社に打診し、27社に対して訪問支援を実施した。事業を通じて得られた主要な学びとして、支援開始時の基礎的認識共有、訪問初期の信頼関係構築、経営者の目線に合わせた対話、現場の巻き込み、腹落ち感のある課題提案の重要性が明らかとなった。