令和元年度産業技術調査事業(研究開発事業終了後の実用化状況等に関する追跡調査・追跡評価)報告書

掲載日: 2020年8月11日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局研究開発課技術評価室
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令和元年度産業技術調査事業(研究開発事業終了後の実用化状況等に関する追跡調査・追跡評価)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、経済産業省が実施した研究開発事業の終了後における実用化状況や産業社会への波及効果を把握する追跡調査・追跡評価について書かれた報告書である。令和元年度における調査では、終了時評価から5年程度経過した研究開発事業に参加した企業や大学、研究機関等を対象として、成果の製品化や事業化状況、知的財産の利用状況等を詳細に調査している。

追跡調査においては、50事業を対象としたアンケート調査を実施し、研究開発成果の実用化状況や技術移転の実態を把握している。調査結果の分析では、事業化成功要因や阻害要因を明らかにするとともに、有意差検定による統計的分析も行われている。また、追跡評価においては、産業社会への波及効果が見極められる1事業を選定し、研究開発成果による直接的効果のみならず、経済や国民生活向上に及ぼした効果について総合的な評価を実施している。

評価対象事業である革新的製造プロセス技術開発(ミニマルファブ)は、莫大な設備投資を必要とする半導体産業において、低コストかつ柔軟な多品種少量生産を可能とする新たなアプローチを提案した先導的な取組みであった。プロジェクトでは、技術基盤の蓄積のみならず、知的財産の一元管理を指向した包括的な戦略が採用され、製造ラインのデジタル化など将来の製造業の姿を示すビジネスモデルとしても期待されている。

評価結果では、事業終了後に一般社団法人格の産業化プラットフォームを組織し、技術リソースの継続的発展に取り組んだことが特異な事例として評価されている。後継プロジェクトにおいても、実用化を視野に入れた体制構築や新たな企業の参加により、成果の継承と実用化の加速化が図られている。しかしながら、現状ではボトルネックとなる工程が存在し、実用化・ビジネス面での課題も指摘されている。報告書では、今後の研究開発マネジメント向上に向けた示唆として、産業エコシステムの構築や知財戦略の重要性が提言されている。