令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(電力先物市場に係る調査事業)報告書

掲載日: 2020年8月11日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ参事官室(商品市場整備担当)
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報告書概要

この報告は、日本の電力先物市場の活性化に向けた調査について書かれた報告書である。国内では電力市場の競争促進のため、日本卸電力取引所(JEPX)においてスポット市場や時間前市場などの取引が行われており、2019年7月から9月期にはスポット市場の約定量が797億kWhとなり、全国電力需要に占めるシェアは36.6%に達している。間接送電権市場や新たに創設されたベースロード市場での取引も開始され、電力取引の多様化が進んでいる。海外においては、欧州では複数の電力取引所が存在し、米国でも電力先物取引が活発に行われている。電力先物取引の活性化に向けたニーズ調査では、事業者がリスクヘッジ手段として電力先物取引に関心を示している一方、ヘッジ会計の適用において技術的な課題が存在することが明らかになった。電力は貯蔵が困難であるという他のコモディティにはない特性があり、価格変動が大きく、スポット価格と先物価格の連動性が低いため、ヘッジ会計の適用には特別な配慮が必要である。報告書では、電力先物市場の発展に向けて、市場設計や規制枠組みの整備、会計処理の明確化などが重要な課題として指摘されている。今後の商品先物取引のあり方についても検討が進められ、総合取引所の実現に向けた取り組みが継続されている。