令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(デジタル貿易ルール形成に向けたアフリカ経済実態調査)アフリカ地域におけるデジタル貿易の関連制度及びキャパビル需要に関する調査報告書
報告書概要
この報告は、アフリカ地域におけるデジタル貿易の関連制度及びキャパシティビルディング需要について書かれた報告書である。アフリカ地域のデジタル貿易関連の法整備は4~6割程度と他地域と比較して普及率が低く、EC等の普及でオンライン取引が拡大する中、法律の未整備は経済拡大の阻害要因となりかねない状況にある。調査対象国のガーナとセネガルは、デジタル貿易関連の基本法整備が整っており、ECOWAS地域におけるリーダー国としてのケイパビリティを有している。
デジタル貿易の定義は機関によって異なるが、共通項としてはインターネット接続とデータの介在が前提となっており、関連するネットワークおよびシステムなどを基盤としてテクノロジーを活用した経済活動を通じ、物やサービスが電子的または物理的に取引されるものである。主な阻害要因として、データローカライゼーション規制がGDPにマイナス0.7%から1.7%の影響を与えることが明らかになっている。
デジタル貿易の法整備における主要論点は、消費者保護、個人情報及びプライバシー保護、サイバーセキュリティ、自由なデータ流通、デジタル取引への課税、知的財産権の保護の5つである。ガーナではサイバーセキュリティが急務であり、セネガルではデータローカライゼーション規制やインフラ整備、GAFAなどのテックジャイアント企業への適切な課税が優先課題となっている。キャパシティビルディング需要として、各国の課題を包括的に理解するための個別テーマ毎のデジタル貿易に関するアセスメント実施が重要である。また、公共セクターにおける法整備、民間セクターでのサイバーセキュリティ対策実施、消費者のリテラシー向上に向けた取り組みが必要とされている。
