令和元年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業(バルク貯槽告示検査方法効率化技術及びLPガス配管内圧力等の測定・点検システムに係る調査研究)に関する報告書〔LPガス配管内圧力等の測定・点検システムに係る調査研究〕
報告書概要
この報告は、LPガス配管内圧力等の測定・点検システムに係る技術開発について書かれた報告書である。液化石油ガスは全国約2,300万世帯で利用される基幹エネルギーであるが、保安業務において燃焼器入口圧力の測定時に消費者の不在により実施困難な場合が増加している課題がある。このため、消費者が不在でも点検作業を可能とする自動測定システムの開発が求められている。
調査研究では、既設のマイコンメータに内蔵された圧力センサと流量センサを活用し、配管設備の圧力とガス流量データを自動的に計測・記録するシステムを検討している。具体的には、マイコンメータから通信機能により取得したデータを時系列で保存し、LPガス配管設備の安全性を検証可能な機器の試作を行った。
配管内圧力等計測調査では、モデル配管設備を構築してLPガス配管設備内の圧力と流量を計測し、配管長、管径、ガス流量による圧力損失への影響を調査した。その結果、25A以上の配管では一般的な長さにおいて圧力損失がほぼ無視できることが確認された。また、マイコンメータの圧力損失は膜式で約0.105kPa、超音波式で約0.04kPaであることが判明した。
圧力損失解析調査では、マイコンメータから燃焼器までの配管設備状況による圧力損失の違いを検討し、測定値に適切な補正を加える必要性を確認している。LPガス設備設置基準の圧力損失計算式と実測値を比較した結果、両者がほぼ一致することが検証された。
今後の課題として、自動点検システムの実用化に向けた性能確認、全国のLPガス設備での使用を可能とするデータの蓄積、現行基準と同等の測定精度を確保する補正方法の検討が挙げられている。本研究は、LPガス保安業務の効率化と消費者保安レベルの維持を両立する重要な技術開発である。