令和元年度新エネルギー等の保安規制高度化事業委託調査(太陽電池発電設備に関する技術基準検討事業)報告書

掲載日: 2020年8月13日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ電力安全課
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報告書概要

この報告は、太陽電池発電設備の安全規制強化について書かれた調査報告書である。

2019年度に経済産業省が委託した調査事業として、太陽電池発電設備の技術基準検討を目的としている。近年の台風等による太陽電池発電設備の事故頻発を受け、特に水上設置型太陽電池発電設備と出力50kW未満の小出力設備に焦点を当てた包括的な検討が行われた。

調査では、水上設置型太陽電池発電設備の実態調査として、世界的な導入状況の把握から始まり、2018年末時点で世界29カ国に1.3GWpの設備が導入されていることが確認された。国内外の事故事例分析では、強風による太陽電池モジュールの飛散やフロート・アンカー破損事故が相次いで発生している実態が明らかになった。特に2019年台風15号による千葉・山倉水上メガソーラー発電所の事故について詳細な分析が実施された。

海外規制調査では、米国、イギリス、中国、台湾、シンガポール、韓国、オランダ、オーストラリアの規制状況を調査し、各国の技術基準や審査項目を整理した。これらの調査結果を踏まえ、現行の「電気設備の技術基準の解釈」第46条第2項の改定案を検討し、水上設置型設備に対応した新たな審査項目と基準要件を整理した。

出力50kW未満の太陽電池発電設備については、経済産業省職員立会いの下で6施設の現地調査を実施した。調査結果では、全ての施設において技術基準への適合性が確認できず、太陽電池モジュール固定金具のズレや単管パイプ接続金具の錆など、設計・施工・維持管理の不備が散見された。これらの実態を受け、立入検査用のチェックリストを作成し、今後の保安規制強化に向けた具体的な指針を示した。

最終的に、太陽電池発電設備に関する技術基準を定める省令案を策定した。この省令案は現行の技術基準解釈に基づいているため、新たな負担を課すものではないが、法的拘束力を持つことで広く周知され、遵守すべき内容の理解促進効果が期待される。報告書では、今後の保安規程検討における構造強度の詳細調査や追跡調査の必要性についても言及している。