令和元年度鉱物資源開発の推進のための探査等事業(海外の資源開発税制に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告書は、海外の資源開発税制に関する調査について書かれた報告書である。鉱物資源等の大部分を輸入に依存する日本にとって、資源・エネルギーの安定供給確保は重要な政策課題となっており、極めてリスクの高い資源権益獲得投資に対する支援策が求められている。現在日本では「海外投資等損失準備金」と「減耗控除」の2つの税制措置を準備しているが、創設から50年以上が経過し、この間に資源・エネルギー探鉱・開発を巡る環境は石油危機、新興国台頭、リーマンショック、シェール革命等により目まぐるしく変化している。特に近年は原油価格の低迷と世界的な資源開発の停滞により、探鉱・開発リスクが益々高くなっている状況である。
調査では米国の資源開発税制について詳細な調査を実施し、日本の3つの業界団体加盟企業に対してアンケート調査を行った。また有識者委員会を開催し、米国と日本の税制比較分析を通じて今後の制度のあり方を検討した。その結果、日本の資源開発税制は近年の資源開発実情と合わない点が見受けられ、探鉱・開発リスクの高さ、マイノリティ出資の多さ、プロジェクト期間の長期化、プロジェクト終盤の多額コスト発生、プレイヤー数の少なさ、海外事業展開といった資源開発ビジネスの特徴を十分考慮した制度となっていないことが明らかとなった。資源開発企業からもビジネス実態を考慮した税制改正を望む声が多く聞かれ、既存制度の拡充や新制度創設を含めた総合的な議論・検討が必要であると結論づけている。
