令和元年度質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(イラク国南部油田の原油海洋払出システムの再構築に向けた海洋マスタープラン策定事業)調査報告書(和文)

掲載日: 2020年8月14日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局国際プラント・インフラシステム・水ビジネス推進室
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報告書概要

この報告は、イラク国南部油田の原油海洋払出システムの再構築に向けた海洋マスタープラン策定について書かれた報告書である。イラク政府は国家財政健全化のため2023年までに原油輸出量を現在の3.4MMBPDから6.0MMBPDに増加させる政策を掲げている。現在、イラク南部で生産される原油の95%以上が南部原油海洋出荷システムを経由して輸出されており、輸出量増大のためには当該システムの整備及び拡張が不可欠となっている。しかし、現在は設備の老朽化により既設設備の能力以下での操業を強いられ、増設・新設計画の遅延が顕著となっている。また、統一した計画概念が構築されていないため、各システムが個別に計画・設計されており、システム間の整合性が取れていない状況である。本事業は、バスラ石油公社が管轄するファオ原油出荷貯蔵設備の下流から海上出荷設備までの海洋原油出荷システムを対象とし、再構築に向けたマスタープランを策定するものである。対象システムは、コール・アル・アマヤ原油ターミナル、バスラ原油ターミナル、セントラル・メータリング・マニフォールド・プラットフォーム、一点係留式出荷設備、バルブステーション、海底パイプラインによって構成されている。設備診断の結果、KAAOTは老朽化が著しく進行し、ABOTでは基礎杭に激しい孔食が確認され、海底パイプラインでは腐食による減肉のため設計圧力より低い圧力での操業が続いている。運転稼働率の計算では、パイプラインは目標流量を確保可能だが、出荷設備ではトレインBで新たなSPM追加が必要との結果が得られた。マスタープランには最先端ICT技術の導入、環境改善効果、日本企業の参画可能性も検討されており、日本企業の優位性として日鉄防食の防食技術、日鉄エンジニアリングの海洋施工技術、日本製鉄の高品質鋼材、東洋エンジニアリングのDX-PLANT技術が挙げられている。