令和元年度安全保障貿易管理対策事業(諸外国における貿易・投資管理等関連法制度調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、米国と中国の貿易・投資管理等関連法制度について書かれた報告書である。米国においては、輸出管理改革法(ECRA)及び輸出管理規則(EAR)に基づくデュアルユース品目の輸出管理制度が詳細に説明されており、商務省産業安全保障局によって運用される包括的な規制枠組みが示されている。特に、輸出許可の要否判断においては、EARの適用対象確認、商務省規制品目リストでの分類、一般禁止事項への該当性、許可例外の適用可能性等の段階的な検討プロセスが必要とされる。また、外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)によって、対米外国投資委員会(CFIUS)の審査制度が大幅に拡充され、重要技術を扱う米国企業への投資に対する規制が強化されている。さらに、情報通信技術及びサービスのサプライチェーン保護に関する大統領令により、国家安全保障上の脅威となる取引の禁止や検討プロセスが定められている。中国においては、国家情報法により組織や国民に対する情報活動への協力義務が課せられ、ネットワーク安全法では安全保護義務、個人情報保護、重要データの国内保存義務等が規定されている。特に暗号法では、商用暗号について核心暗号、普通暗号との区分の下で、生産・販売に関する許認可制度、強制検査認証制度、輸出入管理制度が設けられている。なお、中国では技術移転の強制を禁止する規定も置かれているが、実務運用における懸念は残存している。
