令和元年度中小企業関係租税特別措置の効果に関する調査研究報告書
報告書概要
この報告は、中小企業関係租税特別措置の効果に関する令和元年度調査研究について書かれた報告書である。調査目的は、中小企業関係租税特別措置の利用実態や政策効果を定量的に検証し、制度の今後のあり方について検討・分析することである。調査概要として、法人企業10,000社、個人事業主10,000者の合計20,000件に対して2019年7月から8月にかけて郵送によるアンケート調査を実施した。回答数は法人向け設備投資1,113件、法人向け事業承継531件、個人事業主向け設備投資413件、個人事業主向け事業承継429件であった。
法人向け設備投資調査では、過去5年以内に増資・減資を行わなかった企業が76.3%を占め、法人税申告は顧問税理士による電子申告が73.6%と最も多かった。交際費課税の特例については、定額控除限度額800万円までの全額損金算入特例を72.3%の企業が利用しており、今後の交際費支出について62.3%が増やさない意向を示した。交際費の支出先は飲食費が91.2%と最も高く、販売先への支出が83.5%を占めた。設備投資については、少額減価償却資産の特例や中小企業向け税制の活用状況について詳細な分析が行われている。
個人事業主向け調査では、設備投資の基本方針、少額減価償却資産の特例利用状況、事業承継に関する意識調査が実施された。事業承継調査では、事業継続に対する意識や承継準備状況、税制措置の認知度について分析している。定量分析では、交際費課税特例の効果分析と中小企業関連投資税制による設備投資促進効果について企業データに基づく計量経済分析が行われており、各税制措置の政策効果が定量的に評価されている。
