令和元年度戦略的基盤技術高度化支援事業(ものづくり中小企業の価値提案力向上に関する調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、ものづくり中小企業の価値提案力向上について書かれた報告書である。
従来のものづくり中小企業は仕様書や図面通りに早く安く製品を作ることが競争力とされ、価格競争により低収益を余儀なくされている現状がある。一方で、優れたコンセプトやアイディアを持つものの実物に落とし込めない顧客も存在するため、素形材企業が価値ベースで提案できるようになることで、高収益な取引を実現できる可能性が示されている。
報告書では、中小企業の成長におけるボトルネックを特定するため、価値転換の到達ステージとビジネスプロセスをマッピングした成長ストーリーマップを作成した。このマップにより、「構想していない」「強みがわからない」「資金の不足」「試作止まり」「良さが伝わらない」「事業が拡がらない」「展開できない」という7つの主要なボトルネックが特定された。
これらのボトルネック解決に向けて、様々な打ち手が検討・実施された。特に「一気通貫ワークショップ」では災害時の避難生活をテーマに設定し、素形材企業とクリエイター、社会活動家が協力して価値起点のアイデア創出とプロトタイピングを実施した。また「あったらいいな展示会」では、創出されたプロトタイプを展示し、技術素人顧客との接点を作る取り組みが行われた。
さらに地域との関係強化を図る「地域のお困り事解決プラットフォーム」や、産学連携を促進する「カレッジマッチング」など、多様なアプローチが提案されている。加えて、社内への価値起点思考の浸透を図る25の小さな打ち手も整理され、日常的な取り組みから本格的な事業展開まで段階的な支援策が示されている。
