令和元年度質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(フィリピン共和国:マイクログリッドシステム導入に向けた電力マスタープラン策定支援及び発電・送配電事業者向け性能評価・監査に関する調査)調査報告書

掲載日: 2020年8月17日
委託元: 経済産業省
担当課室: 貿易経済協力局通商金融課
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令和元年度質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(フィリピン共和国:マイクログリッドシステム導入に向けた電力マスタープラン策定支援及び発電・送配電事業者向け性能評価・監査に関する調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、フィリピン共和国ミンドロ島におけるマイクログリッドシステム導入に向けた電力マスタープラン策定支援および発電・送配電事業者向け性能評価・監査に関する調査について書かれた報告書である。フィリピンは2030年までに約10,000MWの再生可能エネルギー開発を計画しており、本調査ではミンドロ島の電力網安定化および電力需給安定化に向けた提言を行った。調査は東京電力パワーグリッドが主体となり、2019年9月から2020年1月にかけて3回の現地渡航を実施し、エネルギー省やNPC、地域の電力協同組合との意見交換を重ねた。ミンドロ島の電力事情として、OMECO、ORMECO、LUBELCOという3つの電力事業者が存在し、それぞれが独立した電力供給体制を持っている。現在の電力マスタープランの課題として、電源計画・系統計画の改善、系統運用の一体化、供給信頼度向上、システムロス低減などが挙げられる。マイクログリッドシステムの導入シミュレーションを実施した結果、再生可能エネルギーと蓄電池を組み合わせることで年間21GWh(27%)の燃料削減と225百万PHPの燃料費削減効果が見込まれることが明らかとなった。また、カタンドゥアネス島やルバング島への水平展開可能性についても検証し、離島における再生可能エネルギー導入のポテンシャルを確認した。日本企業の技術導入については、エネルギーマネジメントシステムを中心とするマイクログリッドシステムが最も現実的な事業可能性を持つと結論づけられた。PAA制度の改善提案として、性能評価・監査制度の現状分析と改善策を提示し、ファイナンス面での支援策についても検討を行った。今後の課題として、既存の電力供給契約との調整、自然災害対策、適切なローカルパートナーシップの構築などが重要な検討項目として挙げられている。