令和元年度産業経済研究委託事業(令和元年度中小企業契約実態調査等)報告書

掲載日: 2020年8月19日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中小企業庁事業環境部取引課
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和元年度産業経済研究委託事業(令和元年度中小企業契約実態調査等)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、中小企業の取引契約における法制度の実態および改善について書かれた報告書である。近年の自然災害、人手不足、デジタル化の進展、経済のグローバル化により、わが国の中小企業は厳しい環境に置かれ、従来の取引慣行に変化が生じている。経済産業省は平成28年に「未来志向型の取引慣行に向けて」を公表し、サプライチェーン全体での取引適正化と付加価値向上に取り組んでいる。本調査では、ビジネス関連法制度について経済取引の実態に照らして必要なインフラが提供されているか検討し、制度改善および立法への提言を行った。特に法務省で検討されている譲渡担保法制について、中小企業の立場から望ましい立法のあり方を検討している。不動産を持たない中小企業にとって、在庫商品や債権、知的財産権等を担保とする融資は重要な資金調達手段であるが、わが国には動産や債権等の担保権に関する明確な法律が存在せず、ルール形成が判例に委ねられているため大きな非効率が生じている。国際的には事業価値を担保化できる法制整備が進行しており、アジア諸国でも新たな立法が成立している。改正民法への対応状況についてもアンケート調査を実施し、明治29年制定の民法が平成29年に120年ぶりに抜本改正され、令和2年4月から施行される影響を分析した。さらに経済のグローバル化に伴う海外展開において、邦人企業と外国籍企業間の取引契約トラブルと解決方法について調査し、国際商事仲裁・調停の利用実情および制度構築の必要性を検討している。