令和元年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(省エネ法における工場等判断基準及び中長期計画作成指針の在り方等に関する調査事業)報告書
報告書概要
この報告は、省エネ法における工場等判断基準及び中長期計画作成指針の見直しと熱換算係数の改定について書かれた報告書である。2019年度に実施された調査事業の成果として、資源エネルギー庁に提出されたものであり、2027年度までに原油換算5,030万kl程度の省エネ実現を目指すエネルギーミックス達成に向けた制度改善が目的となっている。
工場等判断基準については、遵守すべき基準部分と努力目標となる目標部分から構成されているが、平成21年以降大きな改正が行われておらず、最新の技術水準や事業者のエネルギー使用合理化状況が反映されていない課題があった。また中長期計画作成指針も平成22年以降大幅な改正がなされておらず、既に普及した技術や現在では使用されない設備が記載されているという問題があった。
見直し方針として、工場等判断基準では大きな省エネポテンシャルを有し今後普及が期待できる設備等を目標部分に追加し、基本的な内容で遵守すべき事項は基準部分に移行させた。中長期計画作成指針では、普及済み設備の削除と高効率技術の追加を行い、トップランナー制度対象機器や補助事業の要件を参考として性能水準を具体化した。
見直し手順として、既存文献調査、業界団体へのアンケート調査、勉強会開催を実施した。省エネ大賞受賞技術の抽出、低炭素社会実行計画の調査、エネルギー使用量の多い特定事業者を対象とした二段階のアンケート調査により、現状把握と改善案の検討が行われた。
熱換算係数については、他人から供給された熱を熱量に換算する係数の見直しが実施された。現行係数は平成20年改定時の手法を踏襲し、産業用蒸気と産業用以外の蒸気・温水・冷水に区分されているが、エネルギーフローの実情に沿った改定が必要となっていた。総合エネルギー統計のデータを用いて新たな換算係数を算定し、再生可能エネルギーや未活用エネルギーの扱いも含めて複数案が検討された。改定により温対法における二酸化炭素排出係数への影響も考慮され、制度運用上の整合性が確保された。
