令和元年度産業経済研究委託事業(我が国におけるFinTech普及に向けた基盤整備に関する調査検討)報告書
報告書概要
この報告は、我が国におけるFinTech普及に向けた基盤整備に関する調査検討について書かれた報告書である。NTTデータ経営研究所が令和元年度に実施した産業経済研究委託事業として、国内外のモバイル送金サービスの実態を詳細に調査し、日本のFinTech基盤整備における課題と政策対応の方向性を分析している。
報告書では、英国、豪州、米国、スウェーデン、オランダ、フランス、シンガポールの7ヶ国における12のモバイル送金サービスを調査対象とし、サービス提供者、決済手段、利用手数料、利用上限額、特色ある機能、コアインフラ、リアルタイム性、利用普及率の10の切り口で詳細な比較分析を実施した。調査対象には、PayM、Osko、Zelle、Venmo、Apple Cash、Swish、Tikkie、Paylib、PayNow、Paylah、GrabPay、Dashなどの主要サービスが含まれている。
分析結果では、モバイル送金サービスを「銀行発サービス」と「ノンバンク発サービス」に分類し、それぞれのクロスボーダー性、機能性、利用料の観点で特徴を整理している。銀行発サービスは自国内に閉じた展開で単純送金に特化する傾向があり、ノンバンク発サービスはグローバル展開を志向しメッセージング機能などで差別化を図る傾向が見受けられる。利用料については、個人向けは原則無料であるが、法人向けや特定機能利用時には手数料が発生するケースがある。
日本の状況については、J-CoinPay、LINE Pay、PayPay、d払いなどのサービスを分析し、海外事例と比較検討を行っている。日本のモバイル送金サービスは国内利用に限定される傾向があり、銀行間即時決済システムについては諸外国に先駆けて即時化と24時間365日化を実現していることが確認された。
