令和元年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等委託費(電力・ガス小売自由化における消費者の選択行動アンケート調査事業)報告書
報告書概要
この報告書は、令和元年度における電力・ガス小売自由化に関する消費者の選択行動を調査・分析した報告書である。調査は全国の20歳以上を対象にインターネット調査(スクリーニング調査10,000サンプル、本調査1,500サンプル)と電話調査(60~69歳対象100サンプル)の二つの手法で実施された。調査対象者は電気の購入先変更者、電気料金プラン変更者、都市ガス利用で購入先変更者に分類され、2019年12月に実施されている。
調査結果によると、電力・ガス小売自由化の認知度は内容を詳しく知っている割合が電気で25.1%、ガスで19.2%にとどまっており、購入先や料金プランの変更率も前年度と同水準である。変更プロセスは「知る」「検討する」「変更したいと思う」「変更する」という段階を経るが、入口の「知る」段階での内容認知が2割台と低迷している。未変更者における未検討率は74.9%(電気)、72.8%(ガス)と高く、検討意向のある層も電気で24.5%、ガスで18.1%である。
変更理由の上位は電気・ガス共に料金の安さに関するものが占めており、電気では「今の電気料金が高いと感じたこと」、ガスでは「引っ越しや住み替え」が最多である。消費者が供給先に期待する要素は「月々の料金の安さ」が最優先であり、電気で50.4%、ガスで46.6%となっている。次いで「料金体系のわかりやすさ」「安定供給」への期待が続いている。
一方で、意識と実態のギャップが顕著に現れており、未変更者の非変更理由として「変更メリットが不明」「漠然とした不安」「慣れた会社への信頼」が上位を占めている。特に安定供給や災害時対応への不安がスイッチングの障害となっており、実際の変更手続きが簡単であるにも関わらず、手続きの複雑さを懸念する声も多い。契約変更者の満足度は電気で68.5%、ガスで64.7%と一定水準にあるものの、推奨意向は電気で32.2%、ガスで28.8%と控えめである。業界別信頼度では地域の既存会社への信頼が高く、新規参入事業者への信頼度は相対的に低い傾向が確認されている。
