平成31年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(インド:インドにおける先進的シングル・ウィンドウ構築にかかる調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、インドにおける先進的シングル・ウィンドウ構築にかかる調査について書かれた報告書である。
2019年12月に実施された本調査は、インド進出時における行政手続きに関する日印間の共通認識構築と、インドの投資環境改善のためのアクションプラン協議を目的として行われた。調査対象はグジャラート州およびタミル・ナドゥ州のシングルウィンドウシステムとし、日系企業へのヒアリング、各州のシングルウィンドウポータルサイトの整備状況調査、インド国内外のベストプラクティス調査、現地州政府とのワークショップ開催を実施した。
調査結果として、先進的シングルウィンドウモデルが定義された。これは、アクセスのしやすさ、効率性、透明性という3つの普遍的性質を持つシステムである。アクセスのしやすさでは案件毎の専任従事者配置や多言語対応機能、効率性では不要手続きの排除や処理時間目標設定、透明性では規則変更通知やセルフチェックリスト提供など、合計29の要件が整理された。
グジャラート州のシングルウィンドウは透明性項目で整備が進んでいるものの、専任従事者配置による調整機能提供の不十分さ、不要手続きによる承認期間の長期化、規則変更通知の欠如などの課題が確認された。ワークショップでは、専任担当者配置による省庁間調整、通訳者配置、処理状況公開、インセンティブ制度構築、セルフチェックリスト導入の5つのアクションプランについて州政府の賛同を得た。
タミル・ナドゥ州では新システム移行中であり多くの課題解消が見込まれるが、問い合わせ先不明瞭さ、実地検査に要する時間、規則変更通知不備などの改善点が残されている。同州では7つのアクションプランについて州政府の合意を得ることができた。
