平成31年度産業標準化推進事業委託費 戦略的国際標準化加速事業:海外標準化動向の把握・分析最終報告書
報告書概要
この報告は、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社が経済産業省の委託により実施した平成31年度産業標準化推進事業「戦略的国際標準化加速事業:海外標準化動向の把握・分析」について書かれた最終報告書である。
報告書は2019年4月から2020年3月までの約12か月間にわたって実施された調査結果をまとめており、欧米を中心とした新技術・サービス分野における国際標準化の活発化に対応するため、我が国政府・企業による標準化戦略の立案や国際標準の開発・普及に資する最新の国際的な標準化・規制動向を収集・分析している。調査対象地域は欧州、米国、中国、ASEAN5か国であり、7つの重点分野として、ファイナンス、ヘルスケア、スマートマニュファクチャリング、モビリティ、資源循環、エネルギーマネジメント、電子商取引を設定し、さらに複数分野に関連するAIやサイバーセキュリティ等を共通テーマとして整理している。
調査結果として、欧州地域では特にヘルスケア分野における欧州医療機器規則の適用に向けた関連規格・認証動向や、資源循環分野におけるサーキュラーエコノミー関連政策の推進が活発であることが判明した。米国ではモビリティ分野におけるドローンに係る標準化活動が目立つ一方、資源循環分野やファイナンス分野での国際基準づくりにおける動きは限定的であった。中国については、スマートマニュファクチャリング分野において国家政策に基づいた国家規格の策定や他国との標準化協力が進展し、モビリティ分野でも頻繁な会議開催と規格策定が行われている。ASEAN諸国では、ファイナンス分野における国際潮流への対応や資源循環分野における廃棄物管理に係るルール策定動向が比較的活発である。
また、欧米標準化機関によるアジア・中東への二国間協力についても詳細に分析されており、欧州標準化機関によるインドとの協力関係構築、ドイツと中国の標準化協力委員会を通じた先端技術分野での協力、英国とシンガポールの金融サービスや電子政府分野での標準化協力等が挙げられている。米国についても、中国やインドとの標準化分野における協力体制構築が進展している。報告書は月次レポート形式で情報収集を実施し、特に動きのあったトピックについては四半期報告として詳細な分析を提供している。
