令和元年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業委託費~ジョージア国アナクリアSEZ開発調査事業~ファイナルレポート要約
報告書概要
この報告は、ジョージア国アナクリア特別経済区(SEZ)開発に関する事業実施可能性調査について書かれた報告書である。
アナクリアSEZは、現在建設中のアナクリア深海港の後背地に計画された開発面積839ヘクタールの大規模プロジェクトである。同港は計画水深16メートルの深海港として9つの開発フェーズで建設され、完成すれば32バース、10,000TEUクラスの寄港が可能となる予定である。アナクリアSEZは、ジョージア初のSEZとして、港湾と一体運用される保税地域として機能し、コーカサス地域における物流及び製造拠点としての役割を担うことが期待されている。
開発計画は5つのフェーズに分割され、第1フェーズではフリーポート機能に焦点を当てて110ヘクタール超の面積が開発される。土地利用計画には、食品製造業、化学製品、軽工業、物流倉庫、インフラ施設、都市ゾーン、管理施設などが含まれ、最終的に約40,000人の雇用創出が見込まれている。プロジェクトは物流機能、製造機能、居住機能の3つの補完機能により、「ジョージアの物流及び製造のための地域におけるゲートウェイ」というコンセプトを実現する計画である。
財務分析では、建設費と維持管理費を支出とし、土地販売、維持管理費、付加価値サービスを収入として試算が行われた。第1フェーズの建設期間は2年間とし、土地販売価格は120米ドル/平方メートルに設定されている。プロジェクトの実現により、ジョージアの経済発展に大きく寄与し、周辺国のみならずアジア、ヨーロッパ、米国を含む多様な企業が利用する産業基盤となることが期待される。
主要課題として、政治的安定性とインフラ整備の不足が挙げられている。2020年の議会選挙結果による政策変更リスクや、物流インフラの整備不足が投資環境に影響を与える可能性があり、公的機関によるリスク軽減策や国際機関による支援が必要とされている。
