令和元年度産業経済研究委託事業兼業・副業の労働時間・健康管理に関する論点整理に向けた海外制度に関する調査報告書フランス・ドイツ・イギリスに関する調査報告書
報告書概要
この報告は、兼業・副業の労働時間・健康管理に関する論点整理に向けた海外制度に関する調査について書かれた報告書である。フランス、ドイツ、イギリス、及び米国ニューヨーク州における兼業・副業に関する法制度を詳細に調査している。フランスでは労働時間の法定上限(週48時間、連続する12週の平均で週44時間)を超える兼業・副業は禁止されており、違反した使用者及び労働者には罰金が科される。ただし研究・芸術業務や慈善事業などの例外が認められている。使用者は労働協約や雇用契約において兼業・副業を禁止する排除条項を定めることが一般的であるが、パートタイム労働者には適用できない。フランスでは失業率が高いため兼業・副業は政策として促進されておらず、フルタイム労働者の兼業・副業は稀である。使用者は労働者の労働時間記録義務を負うが、兼業・副業の確認について厳格な法的義務はない。しかし兼業の可能性を認識した場合は直ちに確認義務が生じる。ニューヨーク州では近年フリーランス保護法が制定され、報酬支払いの迅速化や書面契約の義務化が図られている。また人権法の改正により差別・ハラスメント禁止がフリーランスにも適用されることとなった。プラットフォーム就労者保護のためのタスクフォースが設置され、新たな労働者分類として「従属的被用者」の概念導入が検討されている。
