令和元年度新コンテンツ創造環境整備事業(国内外のコンテンツ消費傾向等調査) 調査報告書

掲載日: 2020年10月6日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務情報政策局コンテンツ産業課
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報告書概要

この報告は、コンテンツ産業の経営判断に資するシミュレーションゲーム「Age of Content」の開発と実施について書かれた報告書である。

デジタル化やスマートフォンの普及により、アニメ、マンガ、映画、音楽等のコンテンツ消費形態が劇的に変化している中、日本のコンテンツ産業の担い手には刻々と変わる事業環境や消費性向を捉えながら、柔軟かつ戦略的にビジネスを展開していくことが求められている。特に海外プラットフォーマーの登場や新興国におけるコンテンツ投資の増大など、競争環境の激化に対応するため、AI等の技術を活用した経営判断が重要な要素となっている。

「Age of Content」は、コンテンツ産業を取り巻く環境を体感できるシミュレーションゲームとして設計され、コンテンツ関連企業において2~3年後に経営判断に関わり得る人を主な対象者としている。このゲームでは、プレーヤーが音楽、映像、出版、ゲームの4つのジャンルのいずれかの会社に所属し、知的財産やメディア等のカードとサイコロを使用して、自社が保有するIPをコンテンツ化して世界に流通させ、ヒットを生み出しながら経営する会社の資産を長期にわたって最大化することを目指す。

ゲームの基本的な流れとして、プレーヤーはメディアの種類、流通方法、販促費、展開先を決定し、意思決定やヒットの度合いに応じて売上やファン数が計算される仕組みとなっている。コンテンツ業界特有のギャンブル性を再現するため、市場に流通させたコンテンツがヒットするかどうかはサイコロによって決定され、各地域における人口動態や今後のコンテンツ市場の成長率等を勘案した計算ロジックが採用されている。

昨年度の試行版における課題を踏まえ、本格版では効率性の向上、学習効果の向上、ゲーム性の向上を図るため、エクセルツールの導入や開示内容の見直しが行われた。7回のトライアル研修を実施した結果、参加者からは海外展開の重要性やデジタル化の必要性について理解が深まったとの評価を得ている。

今後の課題として、システム化によるユーザビリティの強化、定期的なデータ更新、ゲームマスターの育成、業界への普及促進が挙げられている。コンテンツ産業を取り巻く環境は劇的に変化しており、市場動向にアンテナを立て、柔軟に経営戦略を策定することが重要であると結論付けられている。