令和元年度質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業委託費(米国カリフォルニア州におけるDPR/IPR事業の事業化・汎用的事業モデルの検討及びマスタープランへの組み込み)調査報告書(英語版)Promote Exporting Japanese Quality Infrastructure, that is, Best Available Technology Final Report Feasibility Study on DPR/IPR Business in California, the United States, and General-Purpose Business Models, and incorporation into the Master Plan

掲載日: 2020年10月6日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局国際プラント・インフラシステム・水ビジネス推進室
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令和元年度質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業委託費(米国カリフォルニア州におけるDPR/IPR事業の事業化・汎用的事業モデルの検討及びマスタープランへの組み込み)調査報告書(英語版)Promote Exporting Japanese Quality Infrastructure, that is, Best Available Technology Final Report Feasibility Study on DPR/IPR Business in California, the United States, and General-Purpose Business Models, and incorporation into the Master Planのサムネイル

報告書概要

この報告は、カリフォルニア州におけるDPR/IPR事業の実現可能性調査と汎用的ビジネスモデルおよびマスタープランへの組み込みに関する調査報告書である。日本の質の高い水インフラ技術の輸出促進を目的として、横河電機株式会社とみずほ情報総研株式会社が経済産業省の委託により実施した調査結果をまとめている。

調査では、カリフォルニア州におけるIPR/DPR事業の現状分析として、ラスビルヘネス水道区(LVMWD)とオレンジ郡水道区(OCWD)を対象地域として選定し、各地域の水政策、システム、実施計画について詳細に検討している。IPRは間接飲用再利用、DPRは直接飲用再利用を意味し、カリフォルニア州では2030年までに新規IPR/DPR施設の処理規模660万立方メートル/日を目標として設定している。

日本企業の優位性検証では、膜分離活性汚泥法、RO膜、消毒技術、計測制御技術などの技術要素について分析を行い、市場参入の障壁と解決策を検討している。特に新技術の適用、米国市場への適応、資金調達の課題について具体的な対策を提示している。汎用的ビジネスモデルを構成する技術として、膜処理の現状と強みを活かした技術要素の検討とデジタル化推進の提案を行っている。

技術提案の中核として、DDMO(データ駆動型最適化モデリング)とRAPID(迅速病原体検出技術)の導入を提案している。DDMOは運転データを活用した最適化により、エネルギー消費量を最大15%削減する効果が期待される。RAPIDは従来の培養法に比べて迅速な病原体検出を可能とし、水質安全性の向上に寄与する。これらの技術をOCWDの既存膜処理施設に適用した場合のシミュレーション結果では、制御システムの最適化と水質監視の強化により、処理性能の向上と運転コストの削減が実現可能であることを示している。

RO膜濃縮水対策として、電気透析法を用いた新しい処理プロセスを提案している。この技術により濃縮水の有効利用と処理コストの削減が期待され、他地域への展開可能性についても検討している。資金調達については、州水供給開発基金、水インフラ資金改革法、水リサイクル資金プログラムなど、複数の資金調達手段を整理し、OCWDとLVMWDの具体的な資金調達提案を行っている。

環境効果の推計では、DDMO適用によりカリフォルニア州全体で年間最大34,000トンのCO2排出削減効果が期待される。LVMWDの既存施設では年間30トン、新規施設を含めると年間510トンのCO2削減が見込まれる。最終的に、短期・中期の導入プロジェクト戦略、事業化実施体制、リスク分析と解決策を含む包括的なビジネススキームを提示し、日本の水処理技術の米国市場展開に向けた具体的な道筋を示している。