令和元年度中小企業の製品サービスの付加価値創造・向上及び価格設定に関する調査に係る委託事業報告書
報告書概要
この報告は、中小企業の製品サービスの付加価値創造・向上及び価格設定に関する調査について書かれた報告書である。
我が国では人口減少による需要減少と深刻な人手不足により、中小企業における労働生産性向上が重要課題となっている。従来は投下労働量削減による生産効率向上が中心であったが、人手不足の現状では付加価値自体の創造が期待されている。付加価値向上の取組は、業種・バリューチェーン上での事業領域変更と同一事業領域内での差別化に大別される。近年はサプライチェーンのグローバル化により、中流の組立・製造から上流の企画・設計や下流の販売サービスで付加価値が高くなるスマイルカーブ化が進行している。
経済産業省では親事業者と下請事業者双方の適正取引や付加価値向上を目的とした「世耕プラン」を公表し、価格決定方法の適正化、コスト負担の適正化、支払条件の改善を重点課題として掲げた。企業収益は拡大傾向にあるものの大企業にとどまり、中小企業の収益は伸び悩んでいる現状がある。
本調査では全国の中小企業事業者20,000件を対象とした郵送アンケート調査を実施し、4,548件の有効回答を得た。調査項目は企業概要、海外展開、経営目標達成状況、既存領域での差別化による付加価値向上取組、新事業領域進出による付加価値向上取組、価格設定、顧客コミュニケーション、経営資源配分、外部資源活用である。回答企業の業種別分布では製造業が51.6%を占め、従業員数は5-20人が30.4%、代表者年齢は60-69歳が最多となっている。調査結果から中小企業の付加価値創造・向上と適切な価格設定実現に有効な取組を抽出し、企業全体の取組現状・課題と課題解決に有効な支援策を明らかにすることを目的としている。
