令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(購買証明を用いた二次流通の適正化及び一次流通の消費拡大に関する調査)調査報告書

掲載日: 2020年10月12日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ消費・流通政策課
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令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(購買証明を用いた二次流通の適正化及び一次流通の消費拡大に関する調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、電子レシートを購買証明として活用し、盗難品等の不正転売を防止することで二次流通の適正化と一次流通の消費拡大を図る調査について書かれた報告書である。

経済産業省が実施した本調査では、個人間取引市場の急速な拡大に伴い生じている盗難品や偽造品の転売問題に対処するため、電子レシートを「購買証明」として活用する可能性を検討している。電子レシートとは、スマートフォンアプリを通じて電子的にレシートを発行する仕組みであり、購買履歴データを標準フォーマットで管理できる特徴を持つ。

調査では、購買証明のレベルを三段階に分類し、レベル1では正規店舗での購入を証明し、レベル2では正規の流通経路での購入を証明し、レベル3では正規品であることを証明するとしている。各レベルに応じて必要なデータ項目とシステム機能を整理し、購入日時、店舗名、商品名、価格などの基本情報から、製造番号やシリアル番号などの詳細情報まで段階的に証明能力を高める構成となっている。

システム面では、小売事業者、センター事業者、消費者のいずれが電子レシート情報を保管するかによって、データの授受方法や閲覧コントロールの仕組みが異なることを示している。また、購買証明の悪用防止策として、重複利用の防止、データの改ざん防止、真正性の継続的担保などの技術的対策が必要であるとしている。

今後の課題として、商品マスタや商品IDの整備・標準化、本人同意の仕組み構築が挙げられている。特に正規品保証などの高次レベルの証明を実現するには、JANコード利用の標準化や業種別商品マスタの整備が重要である。電子レシートは単なる紙レシートの電子化を超えて、購買トランザクションにおける情報伝達の役割を持ち、流通全体の活性化や効率化に寄与する可能性があると結論付けている。