令和元年度戦略的基盤技術高度化支援事業(研究開発型中小・ベンチャー企業経営人材の市場創出にかかる大手企業勤務者向け転職動向調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、大手企業勤務者のベンチャー企業への転職動向について書かれた報告書である。デロイト トーマツ コンサルティング合同会社が2020年3月に実施した調査は、戦略的基盤技術高度化支援事業の一環として、ベンチャー企業経営人材の市場創出を目的としている。調査では大企業従業員3,903人を対象とした定量的分析を通じて、ベンチャー企業が求める経営人材の供給可能性を検証した。
調査結果によると、転職に関心を持つ人材は全体の約25%存在し、兼業・副業・出向・起業を含む社外キャリア形成には約半数が関心を示している。しかし実際に転職活動を行う人材は10%未満であり、そのうち9割がベンチャー企業も転職対象として考えている。ベンチャー企業経営人材として活躍できるマインド・経験・コンピテンシーを備える人材は全体の1割程度である。
転職候補先別の分析では、人材要件を満たす層の約3割が社外キャリア形成に関心を持たず、関心を持つ層でも約7割が転職活動を行っていない状況が明らかになった。最もベンチャー企業転職が現実的な層は全体の約0.5%にとどまる。転職のボトルネックとして、ベンチャー企業に関する情報不足が顕著であり、回答者の72.4%が確たる情報に基づかずに判断している。
調査では安定性と将来性に関する情報需要が最も高く、次いで職種・事業内容・業務内容への関心が強い。ベンチャー企業側の情報発信力不足と大企業人材への効果的なアプローチ手法の必要性が浮き彫りになった。
