令和元年度四国地域における持続可能な社会構築に向けた調査事業報告書
報告書概要
この報告は、四国地域におけるSDGs(持続可能な開発目標)の推進と企業への浸透を目的とした調査研究について書かれた報告書である。
2015年に国連で採択されたSDGsは17のゴールと169のターゲットから構成される世界共通の目標であり、「誰一人取り残さない」という理念のもと、発展途上国のみならず先進国も取り組むべき普遍的な課題である。日本政府は2016年にSDGs推進本部を設置し、2019年には「SDGsアクションプラン2020」を決定するなど、国内実施と国際協力の両面で積極的に取り組んでいる。
四国経済産業局が実施したアンケート調査では、四国地域の企業におけるSDGsの認知度は6割を超え、本業を通じてSDGsに貢献している企業は4割に達している。しかし、多くの企業が「メリットが分からない」「何から取り組んだら良いか分からない」という課題を抱えており、情報提供や人材育成支援を求める声が多く上がっている。
本調査では、文献調査とヒアリング調査を実施し、「四国SDGs研究会」を開催して企業活動への影響や事業機会について検討した。研究会では、印刷・デザイン業、機械器具製造業、建築工事業などの具体的な取組事例を通じて、SDGsが企業にもたらすチャンスとリスクを明らかにした。SDGsの導入により、ステークホルダーとのコミュニケーション強化、従業員のモチベーション向上、企業イメージの改善、ESG投資の獲得、新たな事業機会の創出などのメリットが期待される一方、社内浸透の困難さや取組方法の不明確さがハードルとなっている。
さらに「四国SDGs経営フォーラム」を開催し、研究会の成果を広く公表した。この取組を通じて、四国地域におけるSDGsの普及促進と企業の持続可能な経営の実現に向けた基盤作りが進められた。