令和元年度産業経済研究委託事業(産学融合拠点におけるマッチング・プラットフォーム創出のための調査・分析)報告書
報告書概要
この報告は、産学融合拠点におけるマッチング・プラットフォーム創出のための調査・分析について書かれた報告書である。
近年、産学連携が双方の課題解決ツールとして定着し、複数のプレイヤーが参画するコンソーシアム型の産学融合拠点に対して国・自治体が積極的な支援を行ってきた。しかし、これらの拠点の成果は、マッチングやコーディネートを担う特定個人のパフォーマンスに大きく依存している状況であり、仕組みとしての対応方法の構築が課題となっている。
本調査では、産学融合拠点の実態調査と支援人材等の確保に向けた調査という2つの領域に焦点を当てて実施された。文献レビューにより、我が国の産学連携政策の変遷を整理し、科学技術基本計画の発展とともに、拠点政策が研究開発の強化から社会課題解決を重視する方向へと変化してきたことが確認された。また、産学連携を支援する人材については、専門的な知識・経験の共有に加え、大学発ベンチャーの創出、拠点運営、人材育成が重要な課題となっていることが明らかになった。
5つの先進的な産学融合拠点を対象としたヒアリング調査を実施し、各拠点のマネジメント体制や成果創出のメカニズムを分析した。その結果、成功要因として拠点リーダーの強いリーダーシップ、産業界と学術界双方に通じた人材の存在、継続的なネットワーキングの重要性などが抽出された。これらの分析に基づき、支援人材を機能・役割別に分類し、必要とされるスキルやバックグラウンドを体系化した支援人材モデルを設定した。
支援人材確保に向けた取組みとして、企業のオープンイノベーション関連業務経験者等を対象としたイベントを開催し、産学融合拠点への関心喚起を行った。参加者の多くが産学連携に積極的な意欲を示し、人材面、場作り、情報発信に関する期待が高いことが確認された。また、特定の自己分析支援ツールを用いて拠点リーダーやコーディネーターに相応しい行動特性を分析する実験的な取組みも実施された。
