令和元年度産業保安等技術基準策定研究開発等に関する調査事業(危機管理能力の強化に向けた調査)報告書
報告書概要
この報告は、令和元年度における産業保安等技術基準策定に関する調査事業として、産業保安の危機管理能力強化に向けた課題と対応策について書かれた報告書である。報告書では、近年の産業保安を取り巻く環境変化として、産業インフラの老朽化、保安人材の不足、新技術の導入、テロリスクの拡大等のリスク要因を特定し、これらが保安規制に与える影響を分析している。調査手法として、危機管理ワークショップを全6回開催し、産業保安行政概論から新技術対応、危機管理広報、グローバル課題まで幅広いテーマを扱った。さらに、電気保安、ガス保安、鉱山保安、火薬類取締等の分野別に事象進展シナリオを検討し、リスク要因の変化が安全規制の法体系に与える具体的影響を分析した。海外調査では、アメリカやドイツの産業保安体制を調査し、ハリケーン・サンディによる変電所爆発事故やアライソ渓谷ガス漏れ事故等の事例分析を実施した。これらの分析結果から、産業保安行政が抱える課題を類型化し、保安・レジリエンスの強化、持続可能な産業保安力の確保、安全・安心向上に向けた新たな環境整備という三つの視点から今後の施策案を提示している。また、産業保安の危機管理に必要なデータ整備として、ハザード・曝露・過去の災害実績・リアルタイムデータの4つの観点から分析を行い、防災技術動向についても調査している。