平成31年度二国間クレジット取得等のためのインフラ整備調査事業(市場メカニズム交渉等に係る国際動向調査)報告書【英語】FY 2019 Infrastructure Development Research Project for Joint Credit Acquisition Research on International Trends on Market Mechanism Negotiations Report
報告書概要
この報告は、パリ協定第6条の市場メカニズム交渉に関する国際動向について書かれた報告書である。2019年度のインフラ開発研究プロジェクトの一環として、日本エネルギー経済研究所が実施した共同クレジット取得のための市場メカニズム交渉に関する調査研究の成果をまとめたものである。
パリ協定は2016年11月に発効し、2018年のCOP24で実施規則が採択されたが、第6条に規定される市場メカニズムについては合意に至らず、COP25での採択を目指して議論が継続された。しかし、COP25でも合意に達せず、2020年のCOP26での採択を目標として協議が継続されることとなった。
日本は世界最高水準の低炭素技術・製品の普及を積極的に促進し、地球規模での温暖化対策を推進するため、温室効果ガス削減を適切に評価する新たなメカニズムである共同クレジット制度(JCM)の推進に取り組んでいる。パリ協定下の市場メカニズム実施規則は、2020年以降のJCMの実施に重要な影響を与えることが予想される。
国際的には、世界銀行のTransformative Carbon Asset Facility(TCAF)やPartnership for Market Readiness(PMR)、G7の炭素市場プラットフォームなど、市場メカニズムに関する様々な取り組みが実施されており、これらは将来の国際社会における市場メカニズムの取り組みに大きな影響を与える可能性がある。本研究では、パリ協定下の市場メカニズム交渉の動向を調査し、交渉における課題を明確化し、各国の立場を整理して対立構造を分析するとともに、世界銀行の取り組みの現状を調査し、JCMの活用を含む市場メカニズムによる温室効果ガス削減のあり方を分析している。
