平成31年度地球温暖化対策における国際機関等連携事業委託費(TCFD・開示に関する国際会合の開催)調査報告書
報告書概要
この報告は、平成31年度に実施されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)・開示に関する国際会合の開催について書かれた報告書である。2019年10月8日に東京で開催された世界初の「TCFDサミット2019」は、G20大阪サミットで合意された「環境と成長の好循環」を実現するため、グリーン・ファイナンスの推進を目的として経済産業省が主催した。同サミットには世界の産業界・金融界のリーダー361名が登録し、265名が参加した。会合では、イングランド銀行総裁マーク・カーニー氏、TCFDコンソーシアム会長伊藤邦雄氏、WBCSD会長ピーター・バッカー氏などが登壇し、TCFD提言の実務への定着に向けた国際的な議論が行われた。主要なセッションでは、エンゲージメントの重要性、オポチュニティ評価の重要性、アジアにおける開示の課題と今後の展望について議論された。会議結果として、TCFDコンソーシアムが「グリーン投資の促進に向けた気候関連情報活用ガイダンス」を公表し、様々なイニシアティブが共有された。報告書では、周辺動向調査として文献調査、国内ヒアリング、海外調査を実施し、セクター別・業種別の開示特徴、オポチュニティ評価の方法論、各種ガイダンスや基準間の整合性、ダイベストメント・エンゲージメントと開示の関連性について詳細な分析を行った。特に石油・ガス、電力、鉄鋼、自動車、化学等の業種別の気候関連情報開示の課題と投資家の期待について具体的な事例とガイダンスが示されている。
