令和元年度皮革産業振興対策調査等(海外主要国における皮革関連産業のサステナビリティ活動等の動向・対応調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、海外主要国における皮革関連産業のサステナビリティ活動等の動向・対応調査について書かれた報告書である。
近年、欧米諸国を中心に消費者の環境や動物への関心が高まり、製品の価格や品質だけでなく、製造工程が社会問題を引き起こさないことが消費行動の基準軸に加わりつつある。ファッション関連業界においても、NGOからの批判を受けて有害化学物質の使用・排出をゼロにする取り組みが進められており、サステナビリティへの対応が業界発展に不可欠となっている。
欧米の調査では、環境に責任をもつ消費は単なるトレンドではなく、ファッションセクター全体に及ぶ大きな潮流であることが明らかになっている。消費者は有毒化学物質の不使用や動物虐待のないことを重視し、皮革を環境に悪影響を与える素材として約3割の人が認識している状況である。
皮革関連産業における主要な認証制度として、Leather Working Group(LWG)とIstituto di Certificazione della Qualità per l’Industria Conciaria(ICEC)が普及しており、特にLWGは有名ブランドによって立ち上げられ国際的通用度が高い認証として注目されている。EUではアニマルウェルフェアに関する法規制も整備されており、皮革業界もこれらの動向に対応している。
国内皮革関連産業への対応方針として、サステナビリティへの配慮の必要性が強調され、LWGやISO14001などの国際認証取得が有効な方策として提言されている。アニマルウェルフェアへの配慮も重要であり、トレーサビリティの確保や原皮調達における動物福祉への配慮が求められている。中小・零細事業者が多い国内業界では、官民および関連業界の連携による取り組み環境の整備が必要であり、補助金制度の活用や情報共有、段階的な認証取得支援などの対応策が考えられる。
