平成31年度化学物質安全対策(化学物質の対話型リスクコミュニケーションの推進に関する研究)調査報告書

掲載日: 2020年10月23日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局化学物質管理課化学物質リスク評価室
元の掲載ページ: 掲載元を見る
平成31年度化学物質安全対策(化学物質の対話型リスクコミュニケーションの推進に関する研究)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、化学物質安全対策における対話型リスクコミュニケーションの推進について書かれた報告書である。横浜国立大学リスク共生社会創造センターが実施した調査研究により、PRTR制度に基づく化学物質排出量データの分析と、化学物質を取り扱う企業と地域住民との情報交換のあり方について検討している。まず、PRTR排出量データの年次推移分析を行い、化学工業だけでなく非鉄金属業も含む複数業種の事業所に対してヒアリング調査を実施し、排出量変動の要因を分析した。企業の化学物質管理は法規制の整備と自主的な環境安全活動により格段に改善されているが、地域住民の懸念払拭のため積極的な情報開示が求められており、各事業所の排出量変動は社会の環境意識変化と密接に関わることが判明した。また、投資関係者へのヒアリングを通じて、PRTRデータが企業価値評価に与える影響についても調査している。海外事例調査では、米国EPA訪問により、TRI制度の最新動向およびTRIデータを活用したリスクコミュニケーション事例を調査し、世界各国のPRTR制度への対応状況を整理した。国内では、日本化学工業協会のレスポンシブル・ケア活動における地域対話の実態調査を実施し、対話の構造を明らかにした。適切なファシリテーションによりリスク管理に資する住民要望に沿った対話が行われるケースがある一方、質問と回答がかみ合わない場合や連携不足などの課題も観察され、事業者が地域対話を企画する際のノウハウや担当者訓練方法をまとめた小冊子案を作成している。自治体によるリスクコミュニケーション実施事例も調査し、各自治体の取組み状況と課題を整理した。これらの調査結果から、企業が公開するデータがリスクコミュニケーションの場で果たす役割と、ステークホルダーがリスク情報を共有しリスク管理に資するリスクコミュニケーションのあり方を検討している。