平成31年度高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業 (自動走行の実現に向けたモビリティサービスの社会実装事業に関する事業性調査)報告書
報告書概要
この報告は、平成31年度に実施された高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業について書かれた報告書である。全国13のパイロット地域において、将来構想のコンセプトに基づいて4つの分類で実証実験が実施された。コンセプトは公共交通統合・端末交通の拡充、人口低密度地域内交通の拡充、貨客混載による事業性向上、自動走行導入に向けた試行に分けられている。新潟市では持続可能な公共交通ネットワーク形成を目指し、MaaSアプリ「りゅーとなび」とオンデマンドバスの実証実験を実施した。アプリでは交通系ICカード「りゅーと」との連携により、路線バス・レンタサイクルの1日乗り放題乗車券を提供し、中心市街地の商業施設クーポンも付与された。オンデマンドバスは高齢化率の高いしも町エリアと都心軸である本町・古町エリアを結ぶ区間で運行され、スマートフォンや電話予約により最適な配車ルートが選定される仕組みが構築された。新型コロナウイルスの影響により積極的なプロモーションが困難な状況下でも、24日間で686件の登録者を獲得し、企画券は138件、クーポンは42件が利用された。オンデマンドバスは無料運行期間中1日当たり18名、実証本番期間では1日当たり6名の利用があった。利用者からは運行エリアの拡大、決済手段の多様化、アプリの利便性向上に関する要望が寄せられた。永平寺町では住民向けデマンド交通と観光客向け自動走行の二つの取組が実施された。自動走行実証では廃線跡の遊歩道を利用し、永平寺口と永平寺を結ぶ約2キロメートルの区間で6か月間の実証を行い、朝晩は住民の通勤通学手段、日中は観光客の移動手段として活用された。利用者総数は3,657人に達し、観光客が83%を占めた。移動検索アプリへの組み込みにより1日平均3回の検索があり、永平寺とセットで恐竜博物館や東尋坊が関連して検索される傾向が確認された。
