令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(新たな投資協定等の制定に向けた調査)調査報告書

掲載日: 2020年10月30日
委託元: 経済産業省
担当課室: 通商政策局経済連携課
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報告書概要

この報告書は、日本の投資協定締結に向けた経済調査について書かれた報告書である。経済産業省の委託により西村あさひ法律事務所が実施した調査で、日本企業の海外投資増加に伴う投資環境整備の必要性を背景としている。調査では文献調査と18社の企業ヒアリングを通じて、投資協定を締結すべき国・地域の選定、企業が求める協定内容、既存協定の改正候補国の特定を行った。

調査の結果、中南米とアフリカ地域において投資協定締結への高いニーズが確認された。特にブラジル、エクアドル、ボリビア、南アフリカ、コンゴ民主共和国、モーリシャス、ジンバブエ、ギニア、ルワンダの9カ国が新規締結候補国として、ナイジェリアが既存交渉国として重要性が高いと判明した。業種別では、エネルギー・インフラ系企業や商社において投資協定への認知度と締結ニーズが特に高く、食料品製造業でも需要があることが分かった。一方、小売業では投資環境が整備された国への進出が前提であるため、協定締結の必要性は低い傾向にあった。

企業が求める具体的な投資協定規定として、データローカライゼーション規制の制限、企業情報開示要求の制限、政府調達における透明性確保、行政指導の透明性向上、パブリックコメント手続きの整備が挙げられた。これらは従来の投資協定では十分に規定されていない新しい課題である。また送金規制、外資参入規制、自国民雇用要求等の緩和も強く求められている。

第三国における投資協定活用についても調査が行われた。ブラジルが提唱するオンブズマン制度を含む新しいモデル投資協定や、日本が直接協定を締結していない国への投資において第三国経由での投資協定保護の活用事例が検討された。これらの分析を通じて、日本の今後の投資協定政策における重要な指針が示されている。