令和元年度安全保障貿易管理対策事業(我が国の産業基盤技術の実態に関する調査)調査報告書

掲載日: 2020年10月30日
委託元: 経済産業省
担当課室: 貿易経済協力局貿易管理部安全保障貿易管理政策課技術調査室
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和元年度安全保障貿易管理対策事業(我が国の産業基盤技術の実態に関する調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、令和元年度安全保障貿易管理対策事業として実施された我が国の産業基盤技術の実態に関する調査について書かれた報告書である。本調査では、サポーティングインダストリーとしての基盤等に懸念がないかという観点から、鋳造・鍛造から炭素繊維まで20の重要技術分野について包括的な分析を行った。鋳造・鍛造分野では、データベースを活用した業界構造分析により、自動車、航空機、建機の各業界において複数の大手ユーザーと取引関係を持つメーカーが限定的であり、特に航空業界ではNADCAP認証等の関係でその傾向が顕著に表れていることが判明した。3Dプリンタ分野については、2017年の世界市場規模が前年比18.4%増の27万台となったが、日本企業のシェアは3.5%に留まり、2021年には2.0%まで縮小する見通しであることが示された。航空機電動化では、2021年より開始される国際民間航空のためのカーボン・オフセット及び削減スキームのパイロットフェーズを受け、推進系の電動化に対する注目度が高まっており、高出力密度化が最大の技術課題として位置付けられている。マイクロプラスチックファイバー問題では、海洋汚染の原因となる繊維くずの測定手法が統一化されておらず、欧米と日本では洗濯機の種類が異なるため漏出量にも影響を与えるとみられるが検証報告は確認できなかった。炭素繊維分野では、東レ・帝人・三菱ケミカルの日本企業3社が世界市場をリードしており、特に東レと帝人は航空機分野でボーイングやエアバスとの長期供給契約を締結している一方、自動車分野では炭素繊維メーカーとOEMのアライアンスは減少傾向にあることが明らかとなった。